安堂ホセ『ジャクソンひとり』

読み終わった本の記録。著者の方がラジオに出演されていて、すごく話を整理して良い声でおしゃべりされる方だなと思った。

デビュー作だそうです。芥川賞候補作品。

ジャクソンはブラックミックスでゲイ。モデルもやっていて今は整体師。ある日、服にあったQRコードからポルノに誘導され、それは自分とよく似たブラックミックスで……と、あらすじだけで大変である。

最近の作品としては文体がかなり特殊に感じる。三人称で進めるにしても、一文・一節ごとに視点がぐるぐると変わる。普通の娯楽作品に慣れた私には正直ちょっと読みづらく感じてしまった。

これが、「入れ替わり」をテーマに据えた内容に合わせて、意図的にぐるぐるとカメラを回しているとしたなら、すごいことだと思う。

各キャラクターを掘り下げるには紙面が足りてないのと、最終局面に小さくなってしまったのが残念。

「エイジ」さんとジャクソンとのエピソードと視点が生々しくてけっこう良かったと感じた。