伊坂幸太郎『ガソリン生活』

読み終わった本の記録。

一人称視点がまさかの車(自家用車)!無機物の視点に持ってくる作品と言うと、宮部みゆき長い長い殺人』(財布)が思い浮かぶ。それよりずっとライトな読み味で、車への偏執的な愛情も感じられた。

緑のデミオ君がとてもかわいい。ザッパとの会話になんだかのほほんニヤニヤしてしまう。

「車」であるから、運転手に従うしかない。感情や意思のようなものがあるようだが、自分の意思で移動はできない。このギミックで物語を動かすのはものすごい精密な計算をされた作品なんだろうなと感じる。緑デミくん=読者が知り得る情報は、あくまで受動的である。しかし車にしか知らないことが織り交ぜられてくると、途端にドキドキしてくる。

コメディ、サスペンス、アクション全部入りで、怒涛の交差・伏線回収伊坂節これでもかと光ってます。おもしろかった。