道尾秀介『スタフ staph』

スタフ staph

スタフ staph

読み終わった本の記録。

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最初の数ページを読んで、そういえば女性を主人公にした作品ってなかったな、と思ったのですが、調べてみたらその通りのようでした。

移動デリを商う掛川夏都が、思いもしないきっかけでそれまで関わりのなかった世界と事件に巻き込まれて――。とてもテンポよく読める。むごいシーンや強烈な悪意は見えないので、快く読めるのも良かった。

しかしどうだろう、女性というものを少々、なんというかその一面的に強調しすぎではないかと感じてしまいました。思慮が足りないとか、思ったらすぐ口や行動に出てしまうとか、そういう面を描くのはよいと思うんです。しかしそれをことさら地の文で解説(回収)してしまうから、うーん?っていう引っかかりを感じてしまった。男女関係なく、普通の人間は不安定だったり思慮不足だったりするのは当たり前だと思いますし。もっと突っ走っても、あるいはもっと狡い部分があってもいいのになーと思いました。

道尾秀介『鬼の跫音』

鬼の跫音 (角川文庫)

鬼の跫音 (角川文庫)

読み終わった本の記録。

タイトルも、表紙(単行本版)も怖かったのだけど、パラパラとめくったときの装丁がとても美しくて手にとってしまった。書体の選択と、版面の贅沢な使い方がとても美しい。

これに限らず、文庫本には無い、単行本ならではのこだわりや美しさに触れられるのはとても尊い

怖い。なんというか〈取り返しのつかない〉ことの怖さみたいなものが描かれているのだろうか。澄んで尖った言葉がしかしなんだか美しくて、怖いのに美しい読後感がある。


  • 鈴虫
  • 犭(ケモノ)☆
  • よいぎつね
  • 箱詰めの文字 ☆
  • 冬の鬼
  • 悪意の顔 ☆☆

中山七里『静おばあちゃんにおまかせ』

静おばあちゃんにおまかせ (文春文庫)

静おばあちゃんにおまかせ (文春文庫)

読み終わった本の記録。

表紙からはほのぼのハートフルストーリーを想像していました。これを臆面もなく広げて電車で読んでる33の男もすごいなと思いました。が、中身は全然表紙からは及びもつかないほどのハードな事件モノでした。びっくり。

筆者の引き出しの豊かさには驚かされます。司法の立場や解釈を加えながらの、安楽椅子探偵・ラブストーリー。説教臭いにすぎる、と思わせた次の瞬間にはホロリと、あるいはハッとさせられる静おばあちゃんの造形にはさすがと唸ります。

事件の多重奏的な手法は海外ドラマっぽさを感じた。さっぱりとした気持ち良い読後感にも救われる。


  • 静おばあちゃんの知恵
  • 静おばあちゃんの童心
  • 静おばあちゃんの不信
  • 静おばあちゃんの醜聞
  • 静おばあちゃんの秘密

中山七里『作家刑事毒島』

作家刑事毒島

作家刑事毒島

この物語は完全なるフィクションです。現実はもっと滑稽で悲惨です。

さりげないこの一文が全てではなかろうか。出版・文芸で起こる事件と作家刑事。毒島という名前にそのものずばり〈毒〉を当てるのは全国の毒島さんにちょっと気の毒な気がします…。皮肉というより悪罵に近いセリフが癖になります。心が穏やかなときに読みたいですね。自分がもともと口が悪いので、変に影響されてしまいそうです。

幻冬舎そのものがかなり〈攻める〉書籍を出すイメージがありますが、こういう書籍を出せるのは純粋にすごいなぁと感心してしまいます。

三浦しをん『まほろ駅前狂騒曲』

まほろ駅前狂騒曲

まほろ駅前狂騒曲

まほろシリーズを読んだのがかなり昔なので、細かいところは思い出せなかったけれど、安定の先の面白さ。

こんなに挿絵たくさんあったかしら。多田さんがイケメンすぎて辛い。めっちゃいい匂いしそう。ギョーテンうらやましい。星のキャラクターがとても好き。ハッとするような金言に心が優しくなります。