東野圭吾『ブラック・ショーマンと名もなき町の殺人』

読み終わった本の記録。悔しいなー面白いな―って、東野圭吾さんの作品のたびに思っている気がする。

またこれは、新たなヒーローの登場なのではないでしょうか。血縁が舞台装置のひとつだから難しいか。やっぱりどうなんでしょう、「売れてる」作家だからできることもあるんでしょうか。こういう、単発で気持ちよく完結する作品が私は大好きです。

コロナ禍の時代を、そのまま描いている。こういった作品に触れたのはたぶん初めてではないかしら。

表題にもなっている「ブラック・ショーマン」つまり、主人公の叔父(武史)が出てきてからが俄然おもしろい。

これくらい闊達に、小気味よく会話劇が繰り広げられるなら、きっと一緒にいたら楽しいだろうなと思わせてくれる。年齢が高めの設定なのも、謎めいているのも良い。背が高く、端正な見た目という描写があるが、基本的にカッコいい設定なんですよね。

人が死ぬ事件が発端だから明るいとは言えないんでしょうが、軽快で楽しく読めました。