中山七里『カインの傲慢』

読み終わった本の記録。

あとわたくし未読なのは、3作目『ハーメルンの誘拐魔』、最新作6作目『ラスプーチンの庭』の2つらしい。めっちゃ好きで読んでるもはやファンじゃん…。

本作は、1作目『切り裂きジャックの告白』、4作目『ドクター・デスの遺産』を読んでいないといまいちピンとこない描写が多いような気がする。そういう意味で私は幸運だったと思います。


テーマの1つは「貧困」

私はこれを図書館で借りて読んでいるわけです。

例えば作中の登場人物と同じような環境にある少年少女たちに、図書館とかを通じて、届いて欲しいなと思う。その機会があって欲しいと思う。そのためには、説教臭くある書籍だったら不適でしょう。こういうエンタメ作品としてさりげなくあるのがいい。「いま私が自分の置かれている環境は、当たり前ではないのではないか。おかしいのではないか」と気付くきっかけの一つになる。文化や教養が何かを掬い救うのには、そういうかたちがある。

初版2020年。今まさにそこにある問題を取り上げられている。めちゃくちゃ取材されたんだろうなと推測します。

終盤ちょっと駆け足が否めない気もするが、そのせいもあって、シリーズの他作品よりずっとなんか社会派の面が強く出ているように感じた。