『劇場版 ヴァイオレット・エヴァーガーデン』を観た。

「愛してる」を知ることができただろうか。

言いたいことはたくさんあるのだけれど、ネタバレを回避して表現するのが難しいので、他の人の論評に譲るしかない。

アニメ版(Netflix)ほぼ全話泣いていたんですよね。家にいるときは酒飲みなら憚るものなく見るものだから例外なく泣きますよね。みんな10話が良いっていうんだけれど、私は6話『どこかの星空の下で』のエピソードが特に好きでした。「愛している」を遠ざけていた者同士が近づきあって、「愛してる」に近づく過程のそのすれ違いが切なくとてもよく描かれていたと思います。

そして劇場版。まあ泣きますよね。マスクしていたものだから、顔の下半分がすごいことになってました。愛を知らない自覚のある自分でもこうなのだから、世の大多数は涙の海で窒息してしまうと思う。


長編としての完成度は「外伝 永遠と自動手記人形」の方がよくできているのではないかと思う。成熟したヴァイオレットをもってきて、あそこまで感動的に描けるのは神業である。ただそれはアニメ版全編を背景に、つまりその分の描写を省いてエピソードに費やせた面もあるのかなと思った。

今作では、ヴァイオレット・エヴァーガーデンという存在を改めて紹介する導入部があるので、前半・後半で描写が乖離してしまっているところがあるような点は少し気になった。

ただそれ以外は、ある意味で「愚直に」「まっすぐ」に進む愛の物語である。潔ささえ感じる。観る者はそれに身を委ねて一緒に悩み一緒に泣くのが良い。その時間が尊いと思う。

放映当時にはそれほど話題になった記憶はなかったけれど(アンテナが低かっただけですねごめんなさい)この作品は他の人に勧めたくなる不思議な魅力に本当に満ちています。長く広く語り継がれる作品であってほしいと思う。