角山栄『茶の世界史 緑茶の文化と紅茶の社会』

読み終わった本の記録。

日ごろ紅茶びいきで、最近は緑茶もよく飲むようになったので、その教養を深めておこうと思ったんですよね。

とんでもなくガチの良書だった。この知識を深めたところでどうするどうなるわけでもないけれど、漠然としたイメージを漠然としたままにしておかないという意味で、読んでいて楽しかった。お茶の産業や商売に関わる方にとっては必読書でしょう。

日本の輸出に際して、「不正茶」つまり、品質の良くない緑茶に着色したり混ぜ物したりして輸出したらバレる→国際的に競争力を失ったという歴史が淡々と書かれている。断罪はしていないが。昔とはいえ日本アグレッシブすぎるやろ…ってなってる。我々日本に住んでいる者こそ、「商品」としての緑茶にはほとんど気を払わない。文化としてのお茶の側面ばかり見てしまうから、謎に「高尚」「高潔」なものであるハズだ、という思い込みがある。こういうところに別の視点を用意してれるのは、良い新書との出会いだなと思う。