米澤穂信『真実の10メートル手前』

読み終わった本の記録。太刀洗万智シリーズ。

1作目『さよなら妖精』この作品では、学生時代の彼女の造形が描かれる。第三者視点だったので、謎多く表情乏しくしかし非常に頭の切れる女性に見えるものです。

2作目『王とサーカス』この作品では、彼女の一人称視点になっている。私はこれから先に読んでしまっていたので違和感はなかったんですが。

3作目の本作は短編集。視点は他者視点に戻る。そして各短編それぞれ、別の人物からの視点になるのがまた新鮮で面白い。

本当に丁寧に、文章とプロットが描かれているように思う。読んでいて苦に感じる部分がほとんど無かった。結末自体は暗く悪意のあるものであっても、太刀洗万智という人物の強い「覚悟」やそれに立つ優しさが、読者を支えてくれているように感じる。


  • 新鮮の10メートル手前
  • 正義漢
  • 恋累心中
  • 名を刻む死
  • ナイフを失われた思い出の中に
  • 綱渡りの成功例