江戸川乱歩『孤島の鬼』

孤島の鬼

孤島の鬼

Amazon Prime Readingで読了。わたしの記憶では江戸川乱歩作品はこの度50年の時を経て青空文庫に解放されたんだったと思います。

すごく評価が高かったから一度は読んでみたかった作品。その評価に納得しました。

子供のころ「怪人二十面相」シリーズをよく分からないなりに読んでいました。「ハンケチ」表記とか「〜かしら」と語る少年とか、時代的に古い描写が多くて理解が追いついていたとは思えませんし、やはり特徴的なキャラクター造形くらいしか覚えておりませんが、当時はかっこよく思えたんです。

本作は「怪人二十面相」とはまた違いますが、いわゆる「怪奇小説」というジャンルとはこれを指していたのかと今なら分かる気がします。現代の小説とはやはり技法も話法も異なっていて、どちらかというと淡々とした書きぶりに感じますが、やはり筆の格が違いますね。中盤から夢中になって読んでました。主人公と箕浦氏のなす関係性には言うに及ばず。