平野啓一郎『私とは何か 「個人」から「分人」へ』

読み終わった本の記録。

なんとなく手に取った新書。とても読みやすくて、感覚的に分かりやすかった。著者の本(小説)を読んでみたくなる。

なるほど、私には色々な面がある。それを仮面やペルソナという言葉を用いるとホンモノ・ニセモノの価値判断が入ってしまう。ここで整数的「個人」ではなく、分数的「分人」を導入しましょうという提案。

本を読む者は往々にして生きづらさを抱えている。そういう私のような者にも素敵な指針を示してくれている。色々な人に対して色々な顔をする・してしまう自分がいる。矛盾もするし整合しない。これが「個人」単位だとワルイことだと捉えてしまう。「分人」単位においては、それは当たり前なんだと言う。その、構成比率が個性であり、自分にとって好ましい分人に軸足を置けば良いと説く。

なんとなく、何気なく手に取って読んだものに、素敵な影響を受けられてよかった。