小川哲『嘘と正典』

変換してみて気付く。「聖典」じゃなくて「正典」でした。

話題の著者とは存じていて、しかし長編を読むには気力と体力が足りなかったので、まずは短編から挑むことにしました。

ザ・小説を読んだーって感じる。

「最後の不良」は、星新一的な漂白された世界と筒井康隆の「最後の喫煙者」が混じったような構成で、好きな人にすごく刺さるんじゃないだろうか。

「時の扉」「ムジカ・ムンダーナ」は、昼間の(仕事中の)集中している時間に読んだせいか、すごく印象に残った。SFの難解さに引っ張られなくて好き。

全編通して歴史と歪みと改変のようなものがテーマでしょうか。 何をおいても、表題作「嘘と正典」は白眉の出来。読み始め、こりゃ難しいのが来たかなと思いつつ、あれよあれよと筆に導かれてしまった。

  • 魔術師
  • ひとすじの光
  • 時の扉
  • ムジカ・ムンダーナ
  • 最後の不良 ☆☆
  • 嘘と正典 ☆☆☆