読み終わった本の記録。
直木賞受賞の際に大きなニュースになっていたのを覚えている。そのときは米澤作品を読んだことが一度も無かったので、どういう作風なのかまったく想像もできていなかった。
彼の得意とする青春ミステリの青春成分を除き、ワトソン役に黒田官兵衛を迎え、舞台は織田信長の時代とする。このミックスがウケないわけないという意欲作だった。直木賞のコメントで宮部みゆきが褒めている通り、時代小説としても非常に行き届いていると思う。
しかしわたくしは歴史小説は得意でなくて読み方に戸惑いつつ…。(読み切るのに2週間かかってしまった)その骨格が分かってくると「なるほど。“事件”の背景には時代と人の謀りがあるものね」と、だんだん読めるようになってきて、面白さがどんどん加速した。
荒木村重と黒田官兵衛の「謎解き」パートの緊張感、言葉選びがおしゃれ。思わせぶりで示唆だけを示す解答を提示する流れに、米澤穂信節が強く感じられて思わずニヤリとしてしまう。