斎藤環『関係する女 所有する男』

まさかと思うだろうか。しかし、われらがノーベル賞候補作家、村上春樹の作品群を眺めてみるとよい。主人公の男性は、ほぼ例外なく、性については受け身である。彼らが淡々とパスタをゆでたりビールを飲んだり「やれやれ」とか言ったりしていると、いつの間にか魅力的な女性が次々と接近してきては、首尾良く性行為が成立してしまう。恋愛の駆け引きめいたものはほとんど描かれない。

関係する女 所有する男 (講談社現代新書)

関係する女 所有する男 (講談社現代新書)

「男脳」「女脳」の批判から始まる、精神分析からのジェンダー論。

手にとりたくなるタイトルだけれど、中身はけっこうガチの分析論が続く。もちろん一説として読むのが正しいのでしょうが、個人的にはけっこうすんなり入ってきました。

タイトルに釣り・煽りはなく、主張をそのまま表しています。

男は女を、女は男を、その立ち位置や視点からしか見られないので、どうしても筆者・読者のバイアスがかかるような気がしましたが、女性が読んでうんうんと納得できれば成功なのではないでしょうか。


文中に紹介されていますが、下記興味深いです(まだ読めていませんが)