中山七里『追憶の夜想曲』『恩讐の鎮魂歌』

追憶の夜想曲 (講談社文庫)

追憶の夜想曲 (講談社文庫)

恩讐の鎮魂曲 (講談社文庫)

恩讐の鎮魂曲 (講談社文庫)

読み終わった本の記録。

『贖罪の〜』から一気に読めて幸運です。

スネにどころじゃないキズを持つ弁護士・御子柴。このシリーズはすごい。評価が高いのは必然だと思う。シリーズを重ねていくほど広く薄くなるのが普通だと思ってたけど、この「軸」からズレない離れない。

『追憶の〜』の終盤に明かされる鍵となる事実にはさすがに「えっ!?」ってなりましたが。しかしそこまでの(ミス)ディレクションがあってこその緊張感とその解放。岬パパが出てくると思わず嬉しかった。

『恩讐の〜』は前2作以上に法律(むしろ法学)の読み物としてもすごくおもしろい。大学時代に読みたかった!刊行は2016年3月だそうです。無理だった!

最近は時間があったのでゆっくり読むぞ!と臨んでも、気付けばどんどんページを追ってました。変に教訓を得ようとかカッコつけずに、言い方は良くないかもしれないけど娯楽として最の高である。

しかし中山七里氏はその知識量と描き方が本当にエグい。もちろんいい意味で。フィクションと混ぜたときの真実らしさが、〈ドビュッシー〉の音楽も〈ヒポクラテス〉の法医学も、この〈御子柴礼司〉の弁護でも鮮やかにすぎる。

津村記久子『浮遊霊ブラジル』

浮遊霊ブラジル

浮遊霊ブラジル

読み終わった本の記録。

敬愛する宮部みゆきさんの三十周年記念誌にあったインタビューを読んで、津村記久子さんという作家を知りました。インタビューやエッセイにはこういう出会いがあるからいい!

なぜならこの作品とってもよかったから!!文学だわ。ザ・小説だわ。さりげない言葉がすごく瑞々しくて新鮮。淡々としつつも、光条や悪意や希望らしきものがはっと立ち上がってくるように感じる。

単行本で読みました。エディトリアルデザインがとても美しい。ページを開いた瞬間ため息が出た。


  • 給水塔と亀 ☆☆
  • うどん屋ジェンダー、またはコルネさん ☆☆☆
  • アイトール・ベラスコの新しい妻 ☆
  • 地獄
  • 運命
  • 個性
  • 浮遊霊ブラジル ☆☆

中山七里『贖罪の奏鳴曲』

贖罪の奏鳴曲 (講談社文庫)

贖罪の奏鳴曲 (講談社文庫)

読み終わった本の記録。素晴らしい安定感。

刑事渡瀬が出てくるので、また事件・刑事モノかと思いつつ、‘悪辣’弁護士もの。

御子柴のキャラクターがすごく立ってる。安定感がすごい。おもしろかった。シリーズ物なので、次作次々作を探します。