中山七里『追憶の夜想曲』『恩讐の鎮魂歌』

追憶の夜想曲 (講談社文庫)

追憶の夜想曲 (講談社文庫)

恩讐の鎮魂曲 (講談社文庫)

恩讐の鎮魂曲 (講談社文庫)

読み終わった本の記録。

『贖罪の〜』から一気に読めて幸運です。

スネにどころじゃないキズを持つ弁護士・御子柴。このシリーズはすごい。評価が高いのは必然だと思う。シリーズを重ねていくほど広く薄くなるのが普通だと思ってたけど、この「軸」からズレない離れない。

『追憶の〜』の終盤に明かされる鍵となる事実にはさすがに「えっ!?」ってなりましたが。しかしそこまでの(ミス)ディレクションがあってこその緊張感とその解放。岬パパが出てくると思わず嬉しかった。

『恩讐の〜』は前2作以上に法律(むしろ法学)の読み物としてもすごくおもしろい。大学時代に読みたかった!刊行は2016年3月だそうです。無理だった!

最近は時間があったのでゆっくり読むぞ!と臨んでも、気付けばどんどんページを追ってました。変に教訓を得ようとかカッコつけずに、言い方は良くないかもしれないけど娯楽として最の高である。

しかし中山七里氏はその知識量と描き方が本当にエグい。もちろんいい意味で。フィクションと混ぜたときの真実らしさが、〈ドビュッシー〉の音楽も〈ヒポクラテス〉の法医学も、この〈御子柴礼司〉の弁護でも鮮やかにすぎる。