恒川光太郎『滅びの園』

読み終わった本の記録。

新しく近所にできた図書館に行ってきた。(午前中から活動したの偉すぎる)めちゃくちゃきれいで緊張してしまった。やたらと椅子が多かった。蔵書数は多くなさそうだったけど、いま図書館に求められているのは、居場所を提供する機能なのかもしれない。

久しぶりの恒川ワールドに浸った。こんなに一気に読んでしまうとは思わなかった。

プーニー。想念の世界。「何者か」の意図は説明されず、ただ事象があるだけだけれど、物語とはこういうものだと思う。望ましいのはどちらの世界か。

「あちら」の世界の牧歌的で美しい描写には酔える。一方で「こちら」の世界の淡々とした凄惨さ。読者我が身に置き換えたら「あちら」を選ばない者などいないのではないかと思う。

それでもこの地続きの世界で生きるべしという押し付けがましさではなく、あなたはどう選ぶ?という問いかけでもなく、置かれた「園」ではいかようにも見え方が変わるという人間のおぼつかなさだと感じた。