道尾秀介『月と蟹』

月と蟹

月と蟹

どうしてぜんぶ、上手くいかないのだろう。

読んだ本の記録。あっという間に読まされてしまった。

なんて言えばいいのだろう。たぶん子供から大人になる過程の、誰にでもある感情と関係のゆらめきなんだろうと思う。自分はもういつの間にかそういう瑞々しさを失ってしまったけれど、確かにあった。

どうにもならない世界と、どうにかしたいというエネルギーと、どうにでもなってしまえという残酷さ。

ある意味で「ありふれた」事柄を、主人公の目、筆者の目を通してとても鮮やかに描かれていたように思う。