道尾秀介『雷神』

雷神

雷神

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読み終わった本の記録。

遠大なパズルを読み進め、解き終わったような感覚がした。これは傑作というか大変な力作っていうのが近いような気がする。

「構造」がある。それがフラクタルみたいに小さくなったり横にずれたり、読者はその迷路で右往左往し、出口を求めるしかないのである。

どれをとってもネタバレになりそうで難しい(本書は刊行が最近なのでそれも怖い)

地理的な広さ、時間的な長さが大きい。すごく複雑だし伏線も多いんだが、それを分かりやすく述べ記し、しかも説明くさくならないという(なんなら暗くてずっとなんか怖いんだ)上手さ。純粋に文章が上手い!なにこれすごい!っていうところに感動する。特に物語が過去に入ったとき。第二章の入りと抜け。

Amazon書影の帯にあるように、著者の代表作の一つに数えられると思う。

一点、探偵役はその彼がつとめるのでいいのか?という点は気にはなってしまった。キャラが立っていたのでスターシステムなのかな。


親子、キノコ事件、雷。埼玉と新潟。