読み終わった本の記録。ずっと前、たぶん3年くらい前に知り合いからこの本を紹介されていた。なかなか見つけられずにようやく手に取ることができた。
「ひとに紹介できるほどの本」というのはすごい。すっかり感動した。第二十回日本SF大賞受賞作(さもありなん)
惑星ナインの逆さ年代記。SFの年代記だとかの『天冥の標』が思い浮かんだが、本作はアプローチが全然違う。表現として適切ではないだろうが、物語の性質もあいまって女性的で、人文的だった。
〈最後の子供〉と〈最初の女神〉の物語。別の惑星・別の未来という舞台で、生殖能力の欠缺という装置で語られるのは、生と人生の問い掛け。
ルナという人物が徐々に紐解かれていく流れ(ダイアナの章)は、サスペンスとして大変におもしろかった。ぞくぞくした。
教訓じみた読み方もできるとは思うけれど、そこは小説。それぞれが「特別じゃない」人間的な内面描写とルナとの関わり方。閉鎖的なCMCからそこから外に広がる世界に出る風景の移り変わりに、爽やかな開放感がありました。
- マリア・D
- ダイアナ・B・ナイン
- 関口朋美(トモミ・S・ナイン)
- レイディ・アカリ