Netflix『デアデビル』と『ARROW』

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デアデビル』が衝撃的におもしろかった。とくに2話。ヒーローものなのに一発殴っても相手が倒れない。起き上がってまた向かってくる敵をまた殴るっていう謎のリアリティに心を撃ち抜かれましたね。

あと最近多いのかもしれないけれど、主人公が満身創痍。治らない。なかなか治らない。それでも超人的なスピードなんでしょうけども。アメコミヒーローだから、もうその辺テキトーでいいと思うんだけど、すごいリアルね。

惚れた腫れたが横から入ってこないのもいい。そりゃあるんですけど、あくまでおまけ。おまけにすらなってない気もする。

一気に見てときどき眠かったこともあったせいか、登場人物が多くて筋道ムズカシイネっていうところもあったけど、それはわたしの理解力の問題だと思います。

主人公のマット・マードック(チャーリー・コックス)が、めっちゃムキムキ&スタイルが良すぎなのに、童顔でヒゲっていうのも愛嬌があっていい。


Huluで見ていた『ARROW』のシーズン2が配信されていたのでこちらも観た。

シーズン1の「登場人物ほぼ全員クズい」という奇跡の脚本が妙に癖になり、だがしかしシーズン2もこの路線で大丈夫なのかしらと思っていましたが、心を入れ替えたのかちゃんとヒーローものしてくれましたね。

こちらはほぼ一撃で相手が倒れるのですよね。うん、矢だもんね。てかあのコンポジット・ボウ欲しいな。

敵や仲間が増えまして、スレイドとかロイのキャラが立っちゃって、オリバーがもはや淡々としたオトナに見えてしまうのがちょっとかわいそうでした。

辻村深月『ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ。』

ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ。 (講談社文庫)

ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ。 (講談社文庫)

圧倒的な女の物語。著者が女性であることが残酷なほどの説得力を持たせてる。

女同士の地位争いを描き「マウンティング」なる言葉を世に知らしめた、ドラマ『ファーストクラス』が記憶に新しいけれど、それとはまた違う。明確な悪意や嫉妬でも、それをもとにする作為・不作為でもない。

もっと静かな、本人でさえ自覚できないほどの「女」についての描写がすごすぎる。

「わたしはあの子と違う」からこその自信と孤独。「あの子はわたしと違う」からこその憧れと嫉妬。チエミとみずほを中心としながら、彼女たちに向けられる視線を(小説に対して可笑しな言葉だが)正確に描ききっている。

自分の中の性差別というか「あるべき感」にも気付かされました。「え、そこまで書いちゃっていいの? 女なのに?」みたいな。

正直、序盤〜中盤の畳み掛けがすごすぎて、後半ちょっと寂しく感じてしまいました。(普通は逆だろうから、そういう意味で珍しい)

辻村深月『ツナグ』

ツナグ (新潮文庫)

ツナグ (新潮文庫)

読書記録。この方、上手ですよね。なんというかひとの心とかその動きの書き方がすごく丁寧に感じる。

ともすれば、描写が偏ってもおかしくない仕掛けそのものをすごーく丁寧に乗りこなしているように感じる。

本作も「生者と死者をツナグ者」という仕掛けなり舞台自体のインパクトが強いのに、それを読ませる。そして最後の美しさですね。

生と死を描くと、最後はフワフワっとするか読者に委ねてしまうかになりがちだと思うのだけど、ここにカタルシスをもっていけるのはさすがだなと思いました。

連作長編。なかでも『親友の心得』は圧倒的でした。