宮部みゆき『三鬼 三島屋変調百物語四之続』

収録作品:「迷いの旅籠」「食客ひだる神」「三鬼」「おくらさま」

読み終わった本の記録。

これまでよりぐっと分厚い本の、そして4編。つまり1編が長く、ちょっとした1冊分くらいあるよねって思いました。

「迷いの旅籠」自分の集中力が無かったのと、登場人物が多かったのとで、充分に読み込めなかったなと思いました。

食客ひだる神」ひょうきんで可愛らしくて、明るい。「あんじゅう」を思い出しつつ、よりコミカル。

「三鬼」この作品を中心に、本作は社会派だなと思う。これは白眉の出来ではないでしょうか。森と山の暗さ。人の暗さ。生死の暗さ。上村・下村の構造は、それだけで大長編のタネになりそう。

「おくらさま」おちかと三島屋のお話が進む。美仙屋のお話と並行してさらっと描くのすごいわ。


繊細な表現でしびれた。401ページ。

こうして二人のあいだには、わざわざまたぐ必要もないほど狭いが、覗き込めば底知れず深い溝ができてしまった。