小川糸『食堂かたつむり』

食堂かたつむり (ポプラ文庫)

食堂かたつむり (ポプラ文庫)

読み終わった本の記録。

『ツバキ文具店』以来かしら。独特な世界があって気になっていましたので、手にとってみました。自分は料理ができないのでこの設定・描写だけで小説以外の部分で「すごいわぁ」と感心してしまいます。

欠損からの試行錯誤、わだかまりの解消と成長という流れに違和はなく、おもしろかったです。途中のある意味で“むごい”描写についても、キレイなだけではない世界の説明として必要なものだと考えれば、よかったと思う。むしろそこにもっと割いてもいいと思ったくらい。

わたしの貧困な発想ですと「その一回の食事って一体いくらなの!?」というハテナが最後までつきまとってしまいました。すっごい厳選された素材と尽きぬ手間をかけていらっしゃいますけど、受け付けるのは原則1日1組とな。え、採算どうやってとるの?!無一文からのスタートとかおっしゃってなかった? 貴族しかお住まいならない場所なの? みたいな。飲食店がやっていくのに必要なことってそんなキレイなことばかりではない気がする。

『ツバキ〜』もそうでしたが、基本的に主人公の生活にめっちゃゆとりがあるんですよね。日々の生活に追われているようなわたくしからすると、細かいところが気になってしまう面もありました。