森絵都『風に舞いあがるビニールシート』

風に舞いあがるビニールシート (文春文庫)

風に舞いあがるビニールシート (文春文庫)

これ以上悪化する見込みのない「最悪」がもたらす、ほのかな安らぎというものがある。もはや相手になにも望まなくていい。相手からなにかを望まれることもない。

油断していた。「森絵都」という名前にすっかり騙された。こんなにも広く深い作品に会うとは思わなくて、面食らってしまった。

簡単には解消できない思いがある。どんな人にもある。舞台や場所や時代が変わっても、それはあり続ける。そんな人たちに目を向けて、優しく寄り添い、それでも現実の難しさの前に、都合のいい結末では救わない。

短編の一編それぞれが別の顔を見せながら、同じ温度と重さで迎えてくれるような作品だった。

表題作の『風に舞いあがるビニールシート』のほか、『守護神』がよかった。ある種叙述トリックのような趣をみせながら、爽やかな結末が好きでした。

Netflix『デアデビル』と『ARROW』

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デアデビル』が衝撃的におもしろかった。とくに2話。ヒーローものなのに一発殴っても相手が倒れない。起き上がってまた向かってくる敵をまた殴るっていう謎のリアリティに心を撃ち抜かれましたね。

あと最近多いのかもしれないけれど、主人公が満身創痍。治らない。なかなか治らない。それでも超人的なスピードなんでしょうけども。アメコミヒーローだから、もうその辺テキトーでいいと思うんだけど、すごいリアルね。

惚れた腫れたが横から入ってこないのもいい。そりゃあるんですけど、あくまでおまけ。おまけにすらなってない気もする。

一気に見てときどき眠かったこともあったせいか、登場人物が多くて筋道ムズカシイネっていうところもあったけど、それはわたしの理解力の問題だと思います。

主人公のマット・マードック(チャーリー・コックス)が、めっちゃムキムキ&スタイルが良すぎなのに、童顔でヒゲっていうのも愛嬌があっていい。


Huluで見ていた『ARROW』のシーズン2が配信されていたのでこちらも観た。

シーズン1の「登場人物ほぼ全員クズい」という奇跡の脚本が妙に癖になり、だがしかしシーズン2もこの路線で大丈夫なのかしらと思っていましたが、心を入れ替えたのかちゃんとヒーローものしてくれましたね。

こちらはほぼ一撃で相手が倒れるのですよね。うん、矢だもんね。てかあのコンポジット・ボウ欲しいな。

敵や仲間が増えまして、スレイドとかロイのキャラが立っちゃって、オリバーがもはや淡々としたオトナに見えてしまうのがちょっとかわいそうでした。