米澤穂信『さよなら妖精』

読み終わった本の記録。

『王とサーカス』が面白かったので、その前書に当たるということで借りてきた。

ボーイがミーツしている。著者はもともとこういうジャンルで活躍されていた期間が長いというのを目にしていて、青春小説とミステリーが交わる作品というのを、なるほどそういうことかと、新しい体験だった。

何気ない会話ややり取りが続くのって自分は苦手かなと勝手に思っていたけれど、そんなことはなかった。ちょうどよく登場人物が絞られ、無理のない範囲で屈託があり、不思議と心地が良い。

年齢設定のわりに「賢すぎるだろ」と感じる部分はあったけど、思えば知識や賢さは年齢に比例しない。なんなら受験生くらいが一番賢く、分別があり、他人に思いを巡らしているかもしれない。

ユーゴスラヴィアに関する知識量・調査量とそれをエンタメに構成する力がとにかくすごい。これを1冊で読めるなんて、とても贅沢な体験だと感じた。