辻村深月『水底フェスタ』

水底フェスタ

水底フェスタ

読み終わった本の記録。

うーん。おもしろかったのだけど、おもしろかったのだけけど。辻村深月作品のなかではかなり変わった舞台設定(村)で、そこにある愛憎はたしかにあるんだけど。

「独立長編」ということで期待しすぎてしまったかもしれない。暗いところはもっと真っ黒く、明るいところはもっと華やかに描かれるタイプのような気がしていたので、“まだ何かが出てくるのではないか”と思ってしまった。


フェス。村。村と家族の秘密。

恒川光太郎『金色機械』

金色機械 (文春文庫)

金色機械 (文春文庫)

読み終わった本の記録。

分厚いしパラパラめくって入ってくる文字は時代小説みたいだし、読みづらいかと身構えてた。しかし読み始めるとあっという間で、一日で読みきってしまった。これは恒川光太郎作品で初めて触れた長編。

特殊な力を持ったそれぞれの境遇の女と男と金色様。時代を縦軸に、関係を横軸に、複雑で不思議な模様が織られてく。読者を騙そうとすればいくらでもできるでしょうに、それを採らない誠実な書きぶりが好きです。

優しいのに残酷で、仄暗いのに潔い。

綾辻行人『十角館の殺人』

十角館の殺人 <新装改訂版> (講談社文庫)

十角館の殺人 <新装改訂版> (講談社文庫)

読んだ本の記録。Kindleで購入。

いつかは読まなければならない、避けては通れないと思いつつ、「本格」の金字塔が眩くて(今では当たり前になったミステリの形式を、“当たり前にした”そうで)なかなか手に取れないでいた。この度勧めてもらったので意を決して挑戦。

勝手に思い描いていたとっつきにくさ(舞台や時系列の説明が細かかったり、含みのある描き方が目立つとか)などなく、フツーに楽しんで読んでしまった!

30年ほど前の作品ということで、現代の「情報」に対する接し方とは異なる部分があるからそれは差し引くべきだと思う。掛け値なしにおもしろい。