東山彰良『夜汐』

読み終わった本の記録。

日本の歴史の知識がわたしには本当に欠けているので、幕末から明治、新選組の時代ということは分かっても、それ以外のことはテンで分からない。

しかし不思議とするすると読めてしまった。言葉遣いが分かりやすい。あらすじも確認しないで借りてきたけれど、おもしろかった。

たまたまかもしれないけれど、東山氏の著書を読んでいると、「逃げる者」と「追う者」のロードムービーが多い。こういう種類のものが好きなんだろうか。

〈夜汐〉のキャラクターがアニメ的と言えばそうだが、小説的にはむしろ覚悟や運命の象徴なんだろうなと思う。一生の事柄に抱えがたい理不尽さがあると知りながら、一方で因果に正当性を求める人という生き物は、なかなかに業が深い。