連城三紀彦『さざなみの家』

読み終わった本の記録。

ある家、ある家族をめぐる連作短編。

疑念や憂慮を過不足なく描くのが本当に上手いと思う。1編ずつは短くほとんど星新一ショートショートのよう。

暗さと不穏さで始まり、素敵な小休止を迎える転回が鮮やか。家族と言えど全部が分かり合えているわけがない。愛憎がある。

夫があり妻があり、その家庭内役割は古くさいといえる描写がある。それぞれの章で描かれ、はっとさせれらるのは、しかし普遍的なんだろうなと感じる。