貴志祐介『我々は、みな孤独である』

おーう。1日で読み切ってしまった。なんというか、『ガダラの豚』を思い起こさせるような序盤~中盤だった。

貴志祐介作品は、初期のホラー、ミステリーにしか触れてこなかったから、これがどう着地するのかというヒヤヒヤそわそわに惹かれて、ずっと読んでしまった。

どんでん返しやカタルシスを求めるにはちょっと足りないかもしれないけれど、こういうタイプの著作があって良いとは思う。

ただAmazonのレビューにいくつか見られるように、「作者の主張」と「物語」とがどれくらい分離されているかが分かりづらい。はっきりいうとスピリチュアルに傾いているように読めてしまう。それならそれで一つの形ではあるんだけど、エンターテインメントとして読むのは難しくなる。(スピリチュアルなら巷に言説と本があふれている)

エンターテインメントとしてなら、先の『ガダラの豚』やそれ以外のSFやミステリーが、高い次元で昇華しているものがすでにあるから、これがどの位置づけなのかが難しい。

奥付:2020年09月18日第一刷発行。