劉 慈欣『三体Ⅱ 黒暗森林』上下

三体Ⅱ 黒暗森林(上)

三体Ⅱ 黒暗森林(上)

三体Ⅱ 黒暗森林(下)

三体Ⅱ 黒暗森林(下)

これを読むにあたって、第一部を再読していた。2回読んでようやっと面白さを体感できた気がして嬉しかった。中国人名への馴染みのなさや、文革から始まる歴史の無知、SF用語の圧力とか、ハードルが少し高いのである。しかし話の筋を分かってからなら、これが意外と“素直な”エンタメ構造をしていることが分かった。登場人物も舞台も、実に絞られていて分かりやすく工夫されているのである。

そして本書、第二部。

智子。面壁計画。エデンの園。冬眠。水滴。猜疑連鎖。

一部の衝撃的なラストから連なる、絶望と希望の芽。それぞれの傑物たちが、それぞれの場所で熟考し奔走する様子がかっこいい。群像ドラマである。第一部に比べて、時間的な隔たりが小さい(全体としてのスケールは巨大だが)こともあって、ずっと読みやすかった。

〈水滴〉の登場からはもう夢中になって読んでしまった。どうすんのこれ!どうしようもなくない?と引きつけられてやまない。スペクタクル。

第三部『死神永世』は2021年の春ごろとのこと。大森望氏おすすめらしいので、期待して座します。