東山彰良『罪の終わり』『BLACK RIDER』

読み終わった本の記録。

刊行の順は『BLACK RIDER』が先で、その後『罪の終わり』で前日譚が出たそうだ。たまたま2冊手に取れて、悩んだ末に逆順に読んだ。

すごい作品を読んでしまったと思った。『流』よりも衝撃。大災害、食人、信仰とそれだけでいっぱいなのに、決して長くないこの硬い物語は、まったき聖書だった。

ナサニエル・ヘイレンという人物に、たしかに全てを委ねてしまいたくなる。激しくて穏やかで、絶望でもなく諦観でもなく、たぶん光や温度のようなもの。

不思議と思い出したのは、三浦綾子『氷点』だった。キリスト教という共通点に引きずられるのはそうだが、熱量が似ている。

細かいことだか、文章がすごく好みである。一文の長さ、主述、かな漢字の割合がすごく読みやすい。

こちらの方は大長編で、読むのに大変時間がかかってしまった。(結局計3冊をKindleで買った)

そして内容にわりと打ちのめされてしまって感想やメモらしいものが残せていなかった。

ハードボイルドSF西部劇サスペンス。ジョアン・メロヂーヤ。牛。バード・ケイジ。レイン兄弟。蟲。

まず筆者が書くのが楽しそうだなと感じた。産みの苦しみの果てに出されたものかもしれないけれど。

複数人の主人公が、それぞれ粗野なのにどこか繊細である。共通の「敵」を前に近づいたり離れたり、手を取るのかと思いきやそううまくはいかなかったりする。ちりばめられた「ノスタルジック」な固有名詞にくすっとし、ときどき出てくる「詩」が綺麗だなと思う。