津村記久子『ポースケ』

ポースケ (中公文庫)

ポースケ (中公文庫)

読み終わった本の記録。

喫茶ハタナカで交差する人々の、それぞれの物語。ポースケとは「ノルウェーにおける復活祭」のことだそう。なにか少年のあだ名のような書名だなと思って手にとったら全然違った。

道行く人は傍目には「普通の人」に見えるけど、それぞれに当たり前に生活があり悩みがあり、物語がある。そんなことに思いを巡らすような小説だった。ゆっくりとした時間が語り口から流れるようで、とてもよかった。

ベタベタはしないが、おもいやりを持ち合うような距離感が良いと思う。

睡眠にまつわる事情のある竹井さん、ピアノの冬美先生のエピソードが記憶に残った。