小川一水『天冥の標Ⅳ 機械じかけの子息たち』

《天冥の標》合本版

《天冥の標》合本版

天冥の標Ⅳ 機械じかけの子息たち

天冥の標Ⅳ 機械じかけの子息たち

読み終わったところまでの記録。映画観たり、酒に酔ったりで、なかなか読み進めるのが遅くなってしまった。

これまでとはまた打って変わって、セックスと風俗のお話。実際、正義や抵抗とは別に、生活に根付いた部分という意味で言うとすごく大事なことだと思うんですよ。しかしまるまる1冊ほぼブレずに書ききるとは、贅沢を尽くした4巻目です。

いかんせん男女のセックスに疎いため、「へぇー、なるほどね」と読んでしまうわけですが、著者のサービス精神がすごい。VPの大聖堂での……や、その後のプラトニックな部分まで含めて、ありとあらゆる性愛を描こうという気概を感じる。その弾幕のなかに伏線が潜んでいるものがまた素敵です。

ラゴス再登場で嬉しかった。というかⅠ巻を知っている読者にとっては中盤からラゴスが主人公としか読めないわけで、そういう仕組みは大SFならではの楽しみ方だなって思った。