辻村深月『ふちなしのかがみ』

ふちなしのかがみ (角川文庫)

ふちなしのかがみ (角川文庫)

読み終わった本の記録。

辻村先生の著書ね、ホラーはホラーっぽい表紙にしてほしい。油断してまして読み進めましたらめっさ怖うございました。短編集なので全部が全部ではないのですけれど、序盤めっさ怖かった。

疎外感、孤独感、認識の歪み。それも少しずつ生じていくズレみたいなものを描くのが本当にうまい。行と行、文と文の間に落とされていくような感覚がする。「このクラスを2つに分けたときの、上の方、下の方」のようなキモチの揺れの表現の確からしさ。

表題作「ふちなしのかがみ」は本当に傑作でした。恐れと願望と現実がぱたんぱたんと裏返る。「八月の天変地異」はさわかやな救いがあって、ラストにあることがとても幸い。


  • 踊り子の花子
  • ブランコをこぐ足
  • おとうさん、したいがあるよ
  • ふちなしのかがみ ☆☆☆
  • 八月の天変地異 ☆☆