夏の夜。というか明け方。
数年越しの思わぬ再会と、互いにのぞきこんだ瞳の奥。ただ姿かたちを目に焼き付けるように、目をそらさなかった。
見えた気がした。それだけでじゅうぶんだった。
年月はあっという間に消えさったように感じたけれど、そこには触れられないほどの距離があった。
数年越しの思わぬ再会と、急にやってきた別れのかたち。今ごろ気づいたこと。
ふたつの恋の終わりが一度にやってきやがって、つらくて悲しくて、自分がもう信じられないほど。
ただ忘れることのほうがきっとつらいんだ。だから書く。書き残す。
この時ばかりは神はいると思った。そして彼はいたずらが過ぎる。この偶然。この僥倖。この。
明日には少し、来年には大げさに、笑えるときがくる。