森岡 孝二『働きすぎの時代』

働きすぎの時代 (岩波新書 新赤版 (963))

働きすぎの時代 (岩波新書 新赤版 (963))

今日は定時で帰ってきました。

ちょうど先週、先々週と大残業が続きましてね。これはあかんと。ちょっとここらで意識を変えなあかんとふらふらっと図書館で手に取りました。

本書のかなりの部分が、日本または海外の労働時間・形態の調査の情報をもとに、ひとつひとつ読み解いていく構成。必要な部分だとは思うけれど、書籍の宿命なんですけれども、縦書きで漢数字が並ぶ本文はちょっと読みにくいかな、と感じました。

初版は2005年。この10年で震災や増税もありましたから、変わった部分はあるのでしょうが、悪い部分は変わっていないかむしろより悪化したのかもしれません。ただ、10年で「ブラック企業」という言葉が浸透したのは明らかだろうと思う。一方で残業の概念そのものをなくすなんて上方の妄言も出てきましたが。この先あと数年で世代が入れ替わるなかで、また変わるんでしょう。

終盤に改めてまとめられますが、せめて自分にできることは、ダラダラと残業しないこと。定時に帰って人間らしく生活すること。それに値する物事に取り組むこと。

自分語りしても仕方ないけれど、間接部門になってから残業代が出てしまうからタチが悪いんですよ。夏は冷房、冬は暖房の快適な空間でExcelPowerPointたたいてるだけで仕事していることになってしまうのだから。(しかし営業職のときに営業手当とかいう謎の餌で飼われていたのは、それはそれで今も納得がいっていませんが)

とにかくね、人と比べても仕方がないね。「わたしはあの人より出来ないから、もっと働いて当然だ」とか「あの人はわたしより暇なくせに、残業ばかりしている」とか。どちらも構造の歪みなんだろうと思う。認識の歪みではなくね。そしてそれを放置してしまうと、悪循環におちいってしまう。

そこに既に在る構造を変えるのはひどくエネルギーを使うから、無理をしろとは思わない。だからできる範囲でYESやNOをかたちづくっていけたらいい。