去る5月3日(土)四季劇場 海にて。
Gleeを観ていると、レイチェルやカートがよくWICKEDの曲を選ぶような気がする。エルファバの初演はあのIdina Menzelだとも。いまやWICKEDは現代人の教養だと思っていたのですが、友人が誘ってくれてようやく観にいけました。
内容の素晴らしさ については、あらためて触れるまでもないのだけれど、自分にとってけっこう衝撃的な作品でした。
「オズの魔法使い」をベースにした作品、という事実は前情報として持っていたからてっきりファンタジーだと思ってた。ファンタジーなのは確かなんだけど、思った以上に重い。暗い。そして現代的だった。
「アナと雪の女王」で描かれる「女性の自立」とか「自由への解放」とか、この辺が源流になっているのかしらと感じたりしましたね。
以下はネタバレも含むでしょう。
感動して泣きそう、っていう場面も多かったんだけど、それ以上に背筋が寒くなるような場面が多かった。
たぶん、登場人物の誰一人、自分が悪いだなんて一片も思っていない。「よかれと思って」と選んだ選択が、事態を難しくしたり悲劇を呼んだりする。「悪意」なら立ち向かえるけど、みんな「正義」を振りかざしている。
これが怖いなぁ、と。ファンタジーじゃないな、と。
フィエロとエルファバが口にする「物事を違う角度から見てるってこと」っていうのが、たぶん作品のテーマなんだと思う。むしろメッセージに近い強さをもって語られる。
その言葉通り角度を変えてみてみると、登場人物たちの言動が違う色に見えてくる。緑色っていうか玉虫色。
オズの魔法使いの言うこともやってることも、彼からしたら悪いことじゃないんだろう。ブリキに変えられた者が見る世界では、魔女を批難するしかない。だから、終劇に至ってもエルファバが選んだ行動が果たして正しかったのか、他の選択肢はなかったのかと、両手放しにすっきりとできない。
なにも考えていなさそうなグリンダが、最後には一番賢かったんじゃないかと思わせるのも、凝った工夫だなぁと思いました。
これは、何度も観てみたいと思わせる。ロングランになる理由がよく分かりました。