紙魚

僕は字を書くのが好きだ。ペンが好きだ。紙が好きだ。考えるとき、振り返るとき紙から逃れられない。

デジタルネイティブが増えていくこれからの時代の若い人々に比して、これを僕の弟は「紙の呪縛」と呼んだ。もう何十年も紙に記し、読み返し、学習してきた習慣を、年を取ったいま急に変えられる訳がない。

だから半ば諦めているのだけれど、諦めざるを得ない事象が起こった。

紙魚。よく見なければその存在にさえ気づけないくらい小さな白い虫。古い本から大量に湧いた。本に付くだけならまだしも、パソコンの画面にまで這っていることに気が付けなかった。

紙を残すのはリスクであり、コストだとこのとき初めて強く認識した。だから紙を使い、残す場面を選ぼうと考えている。当初は全てデジタル移行してしまえばいいと思ってた。だけど冒頭の通り紙からは逃げられない。

自分のために紙に書き残すのは、手帳と日記だけ。それ以上広げても、この先見返すことはないだろうと思う。

仕事に関してはもう紙を残さないことに決めた。ちょうどEvernoteの運用に慣れてきたところだから、何とかなるだろうと思いたい。

いずれあと数ヶ月、数年したら考えも変わるだろうけれど、いまこの場の記録として。