伊坂幸太郎『逆ソクラテス』

逆ソクラテス (集英社文庫)作者:伊坂幸太郎集英社Amazon 読み終わった本の記録。 人生で好きな本の上位に入ってしまうかもしれない。改めて購入する候補。 表題の一作目「逆ソクラテス」で撃ち抜かれてしまった。なんて小説が上手いんだと。なんて屈託があっ…

辻村深月『オーダーメイド殺人クラブ』

オーダーメイド殺人クラブ (集英社文庫)作者:辻村深月集英社Amazon 読み終わった本の記録。 すさまじい胆力でありました。中学生という年齢の、その中にある鬱屈や葛藤や自分勝手さ、純粋さをここまで描けるものかと。 昨晩から読み始めて、一気に読んでしま…

千宗屋『茶 利休と今をつなぐ』

茶: 利休と今をつなぐ (新潮新書)作者:千 宗屋新潮社Amazon 読み終わった本の記録。 ふだん読まない新書から。まったく知らない世界の、しかし一流の方の選んだ言葉は常にそうであるように、おもしろく読んだ。 固有名詞や時系列はさすがに一読じゃ何にも分…

島田雅彦『カタストロフ・マニア』

カタストロフ・マニア(新潮文庫)作者:島田雅彦新潮社Amazon 読み終わった本の記録。 なんとなく、普段読まないもの・手にとった本に挑戦しようと思った。残念ながらあんまり好みでは無かった。 エンタメとして読めばいいのか、なにかメッセージが込められ…

宝樹『三体X 観想之宙』

三体X 観想之宙作者:宝樹早川書房Amazon 読み終わった本の記録。 素晴らしい。『三体』三部作を読み切ったあとのご褒美として、至福のものでした。 ファンによる二次創作という出自から、もっと散文的な、オムニバス的なものを勝手に想像していた。しかし全…

恒川光太郎『竜が最後に帰る場所』(再読)

竜が最後に帰る場所 (講談社文庫)作者:恒川光太郎講談社Amazon s15i.hatenablog.com 読み終わった本の記録。5年ほど前に読んだ様子だが、タイトルからはあらすじが思い出せない。 しかし読み始めると、ああそうだったそうだった!となりました。しかもゆっく…

米澤穂信『リカーシブル』

リカーシブル(新潮文庫)作者:米澤 穂信新潮社Amazon 読み終わった本の記録。 姉弟ものとして、意外な面からおもしろく読んだ。 ただ、そんな会話になる?って感じてしまう箇所もちょっとあって手放しで称賛するわけではない。同筆者の、後年の作品を先に読…

中山七里『ふたたび嗤う淑女』

ふたたび嗤う淑女 (実業之日本社文庫)作者:中山 七里実業之日本社Amazon 読み終わった本の記録。

恒川光太郎『秋の牢獄』

秋の牢獄 (角川ホラー文庫)作者:恒川 光太郎KADOKAWAAmazon 読み終わった本の記録。2回目。 s15i.hatenablog.com こんなにおもしろかったっけ。そして自分の記憶力の悪さよ、とびっくりしてしまった。 どの編も本当に言葉が美しくて、怖いのにうっとりしてし…

中山七里『嗤う淑女』

嗤う淑女 (実業之日本社文庫)作者:中山 七里実業之日本社Amazon 読み終わった本の記録。 テンポがよく、ずんずん読めてしまって、日中で一気に読み切ってしまった。これは続編に手を出さざるを得ない。 最終章の部分、法権力側はもう少しやりようというか細…

米澤穂信『犬はどこだ』

犬はどこだ作者:米澤 穂信東京創元社Amazon 読み終わった本の記録。 ちょっと「ハードボイルド」風味。犬捜しを専業にするはずだった主人公が、探偵業にまきこまれる。小さな町と町のあいだの2つの依頼は、少しずつ交差する。 キャラ物、ミステリ物としての…

凪良ゆう『流浪の月』

流浪の月 (創元文芸文庫)作者:凪良 ゆう東京創元社Amazon 読み終わった本の記録。 解説や書評を読んでしまうと、自分では何も書けなくなってしまう。そしてこの作品について言えば、何かのキーワードを拾うと、興を削いでしまう。 一人の人間の中にある多面…

中山七里『夜がどれほど暗くても』

夜がどれほど暗くても (ハルキ文庫)作者:中山七里角川春樹事務所Amazon 読み終わった本の記録。 明らかに週刊「新潮」「春秋」あたりをモデルにしてるから、出版社はその辺りだろうかと思ってたら全然違くて、角川春樹事務所だった。すげえな。 “加害者”家族…

伊坂幸太郎『ホワイトラビット』

ホワイトラビット(新潮文庫)作者:伊坂幸太郎新潮社Amazon 読み終わった本の記録。 立てこもり事件。オリオン座。『レ・ミゼラブル』のこと。 これは「地の文」を楽しむ作品だと思う。あえて神の視点の移動・描写をする。時間も戻るし空間も飛び越える。登…

恒川光太郎『雷の季節の終わりに』(再読)

雷の季節の終わりに (角川ホラー文庫)作者:恒川 光太郎KADOKAWAAmazon s15i.hatenablog.com books.rakuten.co.jp 読み終わった本の記録。2回目。 初めて読んだときの感動ほどではないにしろ(なにせ恒川ワールドの美しさをこれでもかと浴びてきてしまってい…

米澤穂信『Iの悲劇』

Iの悲劇 (文春文庫)作者:米澤 穂信文藝春秋Amazon 読み終わった本の記録。 「南はかま市」を舞台に、住民誘致から始まる悲劇と喜劇と悲喜こもごも。 万願寺くん(主人公)が健気でかっこいい。あんまりそういう読み方をする人はいなさそうですが。登場人物…

中山七里『護られなかった者たちへ』

読み終わった本の記録。 ずっと気になっていて、しかしあらすじを読んだだけで内容が“重そう”という理由だけでしばらく手を出せなかった作品。 名作でした。 中山七里作品の中ではプロットが素直ではないだろうか。新聞連載という性質もあるかもしれない。そ…

伊坂幸太郎『ガソリン生活』

ガソリン生活 (朝日文庫)作者:伊坂 幸太郎朝日新聞出版Amazon 読み終わった本の記録。 一人称視点がまさかの車(自家用車)!無機物の視点に持ってくる作品と言うと、宮部みゆき『長い長い殺人』(財布)が思い浮かぶ。それよりずっとライトな読み味で、車へ…

三浦しをん『神去なあなあ夜話』

神去なあなあ夜話 神去なあなあシリーズ (徳間文庫)作者:三浦しをん徳間書店Amazon 読み終わった本の記録。 続編が出ていたのを知らなかった。1作目の内容はほとんど覚えていなかったけれど、おおまかに背景だけがわかっているだけで充分だと思う。 相変わら…

米澤穂信『真実の10メートル手前』

真実の10メートル手前 太刀洗万智シリーズ (創元推理文庫)作者:米澤 穂信東京創元社Amazon 読み終わった本の記録。太刀洗万智シリーズ。 1作目『さよなら妖精』この作品では、学生時代の彼女の造形が描かれる。第三者視点だったので、謎多く表情乏しくしか…

凪良ゆう『汝、星のごとく』

汝、星のごとく作者:凪良ゆう講談社Amazon 読み終わった本の記録。Amazonの履歴によると2023年5月に買っていたようなのですが、なかなか手を出せずにおいていました。それでも、話題の本をこの近くで読むのは自分としては珍しい。 さわやかな恋愛と、両手に…

小林泰三『脳髄工場』

脳髄工場 (角川ホラー文庫)作者:小林 泰三KADOKAWAAmazon 読み終わった本の記録。 短編集。どれも読みやすく、ゾッとしつつ驚きもある。名作ではなかろうか。短いものだと、星新一のショートくらい。 表題作書き下ろしの「脳髄工場」は、他の作品に比べると…

小林泰三『完全・犯罪』

完全・犯罪作者:小林 泰三東京創元社Amazon 読み終わった本の記録。 星新一っぽさを感じながら、しかしもっとダーク。短編集。 表題作はタイムトラベル&パラドックスもの。コメディとブラックジョークが練り込まれていて面白い。 「ロイス殺し」「隠れ鬼」…

中山七里『毒島刑事最後の事件』『作家刑事毒島の嘲笑』

読み終わった本の記録。 毒島刑事最後の事件 (幻冬舎文庫)作者:中山七里幻冬舎Amazon 「作家刑事」になる前、「刑事」としての最後の事件を描いた、いわゆる前日譚。シリーズ刊行順としては2作目にあたるそうな。 しかし「最後の事件」という書名。そして〈…

平野啓一郎『マチネの終わりに』

マチネの終わりに(文庫版) (コルク)作者:平野啓一郎コルクAmazon 読み終わった本の記録。 天才クラシックギタリスト蒔野と、多言語を難なく扱うジャーナリスト洋子とが出会い、懊悩し、織りなしていくお話。 読み始めますと、この人たち牛丼とか食べたこと無…

米澤穂信『さよなら妖精』

さよなら妖精 (創元推理文庫)作者:米澤 穂信東京創元社Amazon 読み終わった本の記録。 『王とサーカス』が面白かったので、その前書に当たるということで借りてきた。 ボーイがミーツしている。著者はもともとこういうジャンルで活躍されていた期間が長いと…

吉田修一『続 横道世之介』

続 横道世之介作者:吉田 修一中央公論新社Amazon 読み終わった本の記録。 文庫版では『おかえり横道世之介』と改題されているそうです。気をつけましょう。 さりげない一節が、なんとなく自分に降り積もっていくような、優しい作品だと思う。 ただ、ダメな時…

米澤穂信『王とサーカス』

王とサーカス 太刀洗万智シリーズ (創元推理文庫)作者:米澤 穂信東京創元社Amazon 読み終わった本の記録。 『インシテミル』をずいぶん前に読んだことがたぶんあるんだけど、前のことすぎて、著者・著書に近づけないでいた。 先日、匿名ダイヤリーで熱量のあ…

小林泰三『パラレルワールド』

パラレルワールド (ハルキ文庫)作者:泰三, 小林角川春樹事務所Amazon 読み終わった本の記録。 読みやすかったけれど、正直ちょっと刺さりはしなかった。 導入~第一部は描写がダイナミックで、先の広がりを感じさせる素晴らしいものがあると思う。 第二部か…

伊坂幸太郎『モダンタイムス』

モダンタイムス新装版 上下合本版作者:伊坂幸太郎講談社Amazon 読み終わった本の記録。 ちょっと怖かった。伊坂幸太郎氏の「ディストピア」物は、胃に迫るような逼迫感があってぎゅぎゅぎゅとなりながら読んでいる。 暴力の描写で始まり、監視の目を疑う流れ…