アンディ・ウィアー『火星の人』

火星の人

火星の人

読み終わった本の記録。Kindle版。

ものすごくおもしろかったので、とりあえずとにかく誰かに勧めたいです。

原作はもちろんその評価が高いのでしょうが(映画『オデッセイ』だそうなので)とにかく日本語の訳がすごい。天才では。小野田和子さんだそうです。天才です。常体と敬体の混ぜ書き、ふざけるときの温度感がもう完璧。

火星に一人取り残されたマーク・ワトニー。その視点の記録から始まる。これ以上ないほど救いのない状況からの、「からの」って言いたくないけどまさにそんな感じの、彼の陽気さひょうきんさポジティブさ。植物学者・エンジニアの宇宙飛行士としての賢さと冷静さに裏打ちされているからこそ、ただの明るさだけじゃない。ひたすら応援したくなる。

まー見舞われるのです。予期せぬ事態に。不運に。そしてジャガイモ。俺もジャガイモに感謝していっぱい食べるよ。きっと読者は誰もがんばれがんばれって、作中のNASAの人らと応援している。

中盤からの「(二重の意味での)帰還」の流れには思わず涙が滲んだ。

道尾秀介『笑うハーレキン』

笑うハーレキン

笑うハーレキン

読み終わった本の記録。

どうせ素顔を覆うなら、笑顔で覆ったほうがいい。

カラスの親指』『スタフ』のエッセンスを思い出させてくれるような、舞台装置と疾走感でした。あえて繰り返される描写にも、二重三重の仕掛けがあって心地がよかった。


ホームレス。家具職人。疫病神。