十二国記 6 『図南の翼』

読み終わった本の記録。

どこを見ても「最高傑作」と名高く、まずここまでは読みたかった。前評判の印象を持ちすぎて読むのは良くないけれど、これは図抜けていた。

王を目指す少女の物語。恭国と黄海。明るく前向きになれる。

視点があちこちに行ったりしないし、登場人物や地名なんかの固有名詞も多くないから、まっすぐ素直に読める。気がついたら朝の5時でした。一度も本を置けなかった。そろそろいい加減朝型の生活リズムに戻さなくちゃいけないのに。

キャラクターの圧倒的な力。珠晶と頑丘のかけあいにはくすっとさせてもらえるし、利広の油断ならない感じが緊張感をもたらしてくれる。作中でおそらく重要となる「王のあり方」についての問答は、Fateの「聖杯問答」をちょっと思い出したりしました。王たらしめるものは何か、という問いはすなわち、自分の人生をどう決めるかという問いなのかもしれない。

十二国記 5 『丕緒の鳥』

読み終わった本の記録。「オリジナル短編集」

これまで読んできた中で、一番好きかもしれない。十二国の世界観が土台にあって初めてある程度分かるようなものだから、本作単体としては読めないとは思うのだけれど。

派手なアクションも流転する陰謀もあるわけではないけれど、市井に生きる(王でもなく麒麟でもない)人々の生活とか思いが、淡々と静謐に描かれる。『丕緒の鳥』のラスト数ページで泣きそうになった。これ以上ない言葉のチョイスが美しい。

『落照の獄』に至っては道徳の教科書に全文掲載されてもおかしくないと思いましたが、これもうライトノベルとか言えないだろう。


  • 丕緒の鳥 ☆☆
  • 落照の獄
  • 青条の蘭 ☆☆
  • 風信

十二国記 4 『風の万里 黎明の空』上下

風の万里  黎明の空 (上) 十二国記 4 (新潮文庫)

風の万里 黎明の空 (上) 十二国記 4 (新潮文庫)

風の万里  黎明の空 (下) 十二国記 4 (新潮文庫)

風の万里 黎明の空 (下) 十二国記 4 (新潮文庫)

読み終わった本の記録。

3人の少女の物語。どんどん世界が広くなっていく。

少女たちの置かれた立場とそこから生じる思いや感情が、その歩みとともに二転三転していく様。その描き方が丁寧で感動的。

上下巻という長編で人も地名も多くて一筋縄ではいかない。一気に読まないと正直「どこのだれだったけ」ってなる自信がある。3つの流れが合流して大きな流れになるラストは、すごく素敵だった。