歌野晶午『葉桜の季節に君を想うということ』

葉桜の季節に君を想うということ (文春文庫)

葉桜の季節に君を想うということ (文春文庫)

各種の賞で圧倒的に評価が高かったのは明らかで、有名すぎる作品。

ずっと家にあって、ずっと前に読んだと思い込んでいた。我孫子武丸殺戮にいたる病 (講談社文庫)』と完全に勘違いしていましたね。そちらの方は読んだことがありました。

何を書いてもネタバレになりそうだし、というか先に書名を挙げた時点で反則なのだけれど、Amazonの「この商品を買った人はこんな商品も買っています」に出てしまうんだし、それはもうご愛嬌ということで。

わたしも例外なく「おおっう!」と叫びました。本当に見事な作品。成瀬将虎、麻宮さくら、蓬莱倶楽部。時間と空間を様々に行き来しながら、まるでジェットコースターに乗っているような感覚でした。

ラストはもう言えませんが、これほど「忘れがたい」ラストにはそうそう出会えないでしょう。

最近、道尾秀介さんの『片眼の猿』を読みましたが、そう、この路線が綿々とつながってるんですよね。

わたしは古くは江戸川乱歩、自覚するようになってから宮部みゆきさんが大好きになって、最近は三浦しをんさんのにわかファンですが。こういろんな作者の作品に触れると、「小説」には本当にいろんなものがあるんだなと、今になって知ったような気がします。そのどれもが読者をいろんなかたちで楽しませてくれます。