村山由佳『星々の舟』

星々の舟 Voyage Through Stars (文春文庫)

星々の舟 Voyage Through Stars (文春文庫)

読書記録。

読み終わるのにずいぶん時間がかかってしまった。家族の物語。短編連作。最後の章の戦争のくだりを除けば、切なくてわずかに救われるお話。きょうだいや不倫やあれこれと。

登場人物の関係性がまぁ難しいと思うのだけれど、それを無理なく進められるのはさすがの技量だなと思いました。

こういったタイプの小説も直木賞受賞作になるんだな、とちょっと意外な気もした。というか、自分が直木賞を誤解していたのかもしれない。

僕にとっての直木賞は『マークスの山』であり『理由』であり『容疑者Xの献身』だったりした。「事件(多くの場合人が死ぬ)→いろいろあって→解決!」的な構造で、「いろいろあって」の部分をああでもないこうでもないと言っているのかな、と思っていたんですけどね。

まほろ駅前多田便利軒』を読んだあとということもあって、直木賞についてのイメージがずいぶん変わりました。