- 作者: 柴田よしき
- 出版社/メーカー: 角川書店
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だが、玲子は思う。結婚だけではなく、そもそも人が寄り添うのは互いの不完全さを補い合い、孤独を癒やしたいからではないのだろうか。その意味では、孤独に耐えることを苦痛にせず、最後には自分以外を必要としない人間とは、根本的に、「寄り添う」ということはできないのだ。
ひとから貸してもらっていて、年末からなかなか読む時間がとれなかった。
正月のバタバタが一段落してちゃんと読み始めたら、上巻の半分くらいから読む手が止められなくなった。これほど衝撃をうけ、これほどおもしろい小説に、わたしの人生であと何度出会えるだろう。
これは恋愛小説なんだと思う。とにもかくにも、山内錬という人間と麻生龍太郎という人間が魅力的でした。それだけを拾ってしまうともう「そういうもの」というふうに読めてしまうけれど、その過程でずいぶんと深い洞察があるように感じた。人間は単純じゃないというか「Aという原因があってBという結果になる」というだけじゃなくて「Aという原因があってBにもCにもDにもある」みたいな。
正直、いわゆるミステリーと違って「なぜそこでそうなる」という部分がないわけではないのです。そこがとても恋愛小説っぽい。
RIKOシリーズで初出の、白檀というよりはスイカのにおいのする山内と、乾草のようなにおいのする麻生というキャラクターを、たぶん筆者は書かずにいられなくなったんだろうな、と勝手に感じています。