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三浦しをん『白い蛇眠る島』

白いへび眠る島

白いへび眠る島

持念兄弟。白蛇様。荒神様。鱗。あれ。

三浦しをんさんの作品では、かなり珍しいタイプの作品ではないでしょうか。拝島(おがみじま)を舞台とした「不思議」のお話。

なんというか、けっこう怖かったです。登場人物は若く、季節は夏というさわやかさなんですが、じとじととした暗さみたいなのがあります。ホラーとは言わないけれど、寝る前に読むとぞわぞわっとする感じ。たぶん「ひぐらし」を思い出す部分が個人的に強かったのもあると思います。

“不思議な”ではなくて、“不思議の”お話なのです。難しい描写が多いけれど、無理なく伝えられているように思います。

主人公の「見える」ものやその理由や、持念兄弟の果たす役割とか、気になるところは実はあるのです。が、それを書ききってしまったら、土俗風習・信仰の研究になってしまう。あるいは、舞台装置として「使われる」ような安さを生んでしまうんでしょう。分からないままの、アンタッチャブルなものが、そういうままであってもいい。