2018年3月現在、いくつかの端末でKindleを使って本を読む生活をしてきたので、そのそれぞれの感触のメモ。あくまで個人の感想です。
結論
Kindle Paperwhiteは無理して買わなくてもよいと思う。わりとスマートフォンだけで充分に使える。
あまり漫画は読まない(大好きですが、買い始めると歯止めがきかなくなるのが怖い)ので、文字ものばかり読んでいます。
漫画については、この中では画面の大きい端末で読むほど快適だと言っていいと思います。
書体(フォント)と組版
Paperwhite > iOS for Kindle ≧ Fire HD8 > Nexus7
これは圧倒的にKindle Paperwhiteが美しい。
搭載され、選択できる書体(フォント)は次の様子。
※Androidについては端末・OSのバージョンが広すぎて把握できないので、あくまでわたしの環境のもの。以下同じ。
筑紫明朝はおそらくAmazonが専用端末向けに契約しているのでしょうね。独自端末でしか使えない(ダウンロードして追加などもできない)ようです。
このうち「筑紫明朝」「ヒラギノ」がやはり美しい。どちらも本文組み用に作られた書体ではないと思いますが、きれいです。「筑紫明朝」のほうがオールドスタイルに寄っていて、漢字とかなの大きさに差があるため、拾い読みがしやすく感じます。
ヒラギノはモダンでわりとエッジがキツいつくりをしているので、本文だと少々圧迫感を感じます。
新しいiOSでは「游明朝 / 游ゴシック」も採用されたようですし、できればそちらを使ってくれないかなーーと祈っています。本文組みのものとして理想だと思うんですよね。
組版については、これは好みや趣味や慣れの問題だと思うところもありますが、Paperwhiteが抜群です。約物の禁則や字詰めの面で「ほぼ紙の本」と言ってよいと思います。ついでiOS for Kindleも過不足がありません。
この点、同じくAmazon製端末なのに、Fire HD8だと「字詰め」でたまにおかしくなることがあるのが不思議です。漢字が近づきすぎたり、あとに続く文字列が広がってしまうことがあります。OSないしソフトの問題でしょうから、アップデートで解消するのを期待したいです。
画面の大きさ
Fire HD8 > Nexus 7 > Kindle Paperwhite > iPhone
画面の大きさはつまり「携帯のしやすさ」と反比例の関係といえると思うので、ひとくちに良し悪しは言えません。
ただ「実はKindle Paperwhiteの縦幅とiPhone 6s Plusの縦幅はほぼ同じ」ということが書きたかっただけです。ディスプレイの縦幅を比べると1〜2ミリ程度の差しかありません。わたしだけかも知れませんが、これけっこうびっくりしました。Paperwhiteは大きく感じますが、縦に入る文字量としては同じです。
しかしまた逆接です。これらいずれの端末でも、縦書きの文章を読むときは、端末を横にする(ランドスケープにする)のが快適です。これをもっと布教したい。表現が難しいのですが「新聞を読むような感覚」に近くなると思います。目線の縦移動が減るので、疲れにくいように感じます。また、1行の文字数が減ると、改行が生じたときの空白が減るので、一般的な小説などでは1画面に表示される文章量が多くなっているはずです。
精細さ
Kindle Paperwhite = iPhone = Nexus 7 > Fire HD8
これはスペックのppiを見れば明確ですが念のため。正確にはイコールではないでしょうが、高精細レベルになると肉眼では区別がつきません。
Fire HD8を買うときに一番心配していた部分でした。が、実際に試してみると、これが思っていた以上に気になりません。別に普通に読めてしまいます。日ごろ普通に72dpiくらいのディスプレイで仕事していますからね。
操作感
iOS for Kindle > Fire HD8 > Nexus 7 > Kindle Paperwhite
ここで言うのは「反応速度」とか「マーカーの引きやすさ」とか、ぼやっとした感触です。
幾人もの人が声を上げているでしょうが、ご多分にもれず「純正なんだからがんばってよ!」と言いたい。
まずPaperwhiteはその構造の違いもありますが、どうしても1拍遅れるような感じがあります。それでもストレスがないくらいふつうに速いです。
しかしiOS版の方がすさまじくキビキビ動くのです。ページ送りは速いし、マーカーも引きやすい。引用箇所をSNSに投稿したりするのにも便利。それに加えて「アプリのアップデートが早い」のはどういうことなのか…。新機能はKinde端末よりずいぶん早くリリースされているのではないか。最近だと漫画のシリーズまとめ機能とか。
アプリ内で購入できる / できない
iOSでは決済システムの関係で、アプリケーション内で電子書籍が買えません。別にブラウザ経由で購入する必要があります。この点は不便ですが、自分にとっては衝動買いを封じる抑止力としてよく機能していて、正直助かっています。
Amazon様的にはこの機会損失は大きいでしょうからなんとかしたいとお考えでしょうが、正直このままでもよいくらいです。
Eインクと液晶の差は、用途の差だと感じた
Paperwhiteの最大の特長はEインクなわけです。つまり「反射光で読める」「電池がもつ」という恩恵があって、これが「紙の本を読む」体験に非常に近くしてくれている。
一方で「電子書籍を読む」ことに慣れてくると、「外出先でも端末1つで読める」「暗闇でも読める」というメリットが非常に大きいことにだんだん気がついてきてしまいます。
すると「外出するのにiPhoneとKindle両方持つのは荷物になるなぁ。iPhoneで読めるしいいか!今どきはそこここで充電もできるし」という発想で、外ではiPhoneで足りてしまうようになる。
家では寝る前に部屋を暗くしてしまって読むことが多いのですが(目がさらに悪くなりそう!)このときは「反射光」だとむしろ困ってしまうのです。暗くて読めない。
Paperwhiteにはバックライト機能があるので使えよって話ですが、バックライトをONにするとページ送りの描画が微妙に遅くなることに気がついてしまったのです。ページを送る度に再描画されるのがチカチカしてつらい…。それに「バックライト使うんだったら、そもそも液晶でよくね?」という発想で、家の中ではFire HD8が活躍しています。